Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

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ある明治人の記録

ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 (中公新書 (252)) [新書] 編著:石光真人【評】 いくたびか筆とれども、胸塞がり涙さきだちて綴るにたえず、むなしく年を過して齢すでに八十路を越えたり。 父母兄弟姉妹ことごとく地下にありて、余ひとりこの世に残さ…

正法眼蔵随聞記

正法眼蔵随聞記 (岩波文庫) [文庫]編:懐奘 校訂:和辻哲郎評価:A【評】主君父母も我に悟りを与ふべからず。妻子眷属も我が苦みを救ふべからず。財宝も我が生死輪廻を截断すべからず。世人も我をたすくべきにあらず。非器なりと云ひて修せずんば何の劫にか…

逝きし世の面影

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー) [単行本(ソフトカバー)] 著者:渡辺京二【評】 日本近代が経験したドラマをどのように叙述するにせよ、それが一つの文明の扼殺と葬送の上にしか始まらなかったドラマだということは銘記されるべきである。扼殺と葬送…

ブッダのことば

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫) [文庫] 訳:中村元【評】ハジメが梵語から訳出した、仏教最古の聖典。ゴータマさん、道場破りないし悩み相談に来た訪問者をあざやかに対処していく。生きとし生けるものへの愛、因果、輪廻、無常、分別・五根・執…

イスラーム哲学の原像

イスラーム哲学の原像 (岩波新書) [新書]著者:井筒俊彦評価:A【評】神秘主義と哲学の結婚。『意識と本質』のイスラーム部分の掘り下げといっていい。唯識論、仏教、道教、宋学など東洋哲学に底流する、「存在の深みに行って戻ってくる」という考え、p.56の…

日本語が亡びるとき

増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫) [文庫]著者:水村美苗評価:A【評】「人はなんとさまざまな言葉で書いているのか」外国で非英語圏の人々と関わってきた著者がものした警世の書。「パリでの話」は圧巻。たびたび挿入される『三四郎…

おくりびと

おくりびと [DVD] [DVD]著者:滝田洋二郎評価:A【評】モッ君が納棺師になる。小品感を見せつつも音楽は譲、と力の入れ具合が伝わる。マジメ一辺倒ではなく、ビデオ撮影や納棺キッスなどのヒュ~モアを絶妙に入れてくるので、中だるみがない。銭湯のおばさん…

愛の贈りもの

星野富弘 愛の贈りもの [大型本]著者:星野富弘評価:A【評】「愛、深き淵より。」「新編 風の旅」の代表作二冊を収録。命のきらめき、世界の美しさを宿した闘病記・詩画集。母を道づれの闘病生活。突然首から下の感覚を喪失し、生死の境を何度もさ迷い、気…

意識と本質

著者:井筒俊彦【評】 東洋哲学――その根は深く、歴史は長く、それの地域的拡がりは大きい。さまざまな民族の様々な思想、あるいは思想可能体、が入り組み乱れて、そこにある。 東洋哲学の諸伝統を、時間軸からはずし、それらを範型論的に組み換えることによ…

歎異抄

歎異抄 (岩波文庫 青318-2) [文庫]著者:唯円 校注:金子大栄評価:A【評】親鸞聖人のお言葉集。そして異を歎く抄。如来の阿弥陀に、他力の本願に、身も心も委ねてしまおう。善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。自力のこころをひるがへして、他力を…

芭蕉俳句集

芭蕉俳句集 (岩波文庫) [文庫]校注:中村俊定評価:A【評】バショウ・ザ・オナジミ・ラッシュ。あとはキミの目で確かめろ!!!【レジェンド俳諧】山路来て 何やらゆかし すみれ草 古池や 蛙飛込む 水のをと草の戸も 住替る代ぞ ひなの家夏草や 兵共が ゆめ…

豊饒の海

春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫) [ペーパーバック] 著者:三島由紀夫評価:A【評】 十三歳の清顕は美しすぎた。 ほかの侍童と比べても、清顕の美しさは、どんなひいき目もなしに、際立っていた。 色白の頬が上気してほのかに紅をさしたように見え、眉は…

イスラーム文化

イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫) [文庫]著者:井筒俊彦評価:A【評】人間存在のあらゆる局面を通じて、終始一貫して『コーラン』に現れている神の意志を実現していくこと、それがイスラームの見る宗教生活なのであります。イスラーム教徒が歴…

サウンド・オブ・ミュージック

サウンド・オブ・ミュージック<1枚組> [Blu-ray] [Blu-ray]監督:ロバート・ワイズ評価:A【評】名曲の数々に乗せておくる、ミュージカル映画の名作。感情が昂ぶると、自然に体が動いちゃうんだ。ドレミファソラシ7姉弟登場、センセイのドレミ講習、パパ反省…

項羽と劉邦

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫) [文庫]著者:司馬遼太郎評価:A【評】「鴻門の会」「背水の陣」「四面楚歌」などでおなじみ、両雄と群雄たちの、蜥蜴が龍になるまでの物語。天下を治める人望とめしの重要さを、俠とアジア的個のすがたを、学び取れ。シヴァお得…

ルバイヤート

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1) [文庫]著者:オマル・ハイヤーム 訳:小川亮作評価:A【評】世の無常・無情をかこつ千年前の万能の人。彼らにはめずらしく神や世界をdisっていくスタイル。無常をかこちながらも酒と美少年など、現世はしっかり楽しむ複雑…

寺田寅彦随筆集

寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫) [文庫] 著者:寺田寅彦【粗評】名文で綴られるテラトラの随筆。少ししっとりしていて決して読みやすくはないが、高雅な感じがある。そして各随筆の最終段落が効く。さあ頁を繰ると『どんぐり』。いきなりの名随筆出現。一…

仰臥漫録

仰臥漫録 (岩波文庫) [文庫]著者:正岡子規評価:A【粗評】子規式死期の見つめ方。敷き布団の上にも四季は来ると見える。「朝ぬく飯二椀 佃煮 梅干牛乳五尺ココア入り 菓子パン数個」式の子規の闘病記。毛筆にて記されたる或る男の生きた証なり。俳句・短歌…

枕草子

枕草子 (岩波文庫) [文庫]著者:清少納言 校訂:池田亀鑑評価:A【粗評】『方丈記』『徒然草』より時代が古いのでなかなか読みにくい。岩波文庫のでは訳はあって無きがごとしなので、講談社学術文庫のを薦める。中宮マジリスペクトなキヨシが、現では苦しく…

トップをねらえ!

トップをねらえ! Vol.1 [DVD] [DVD]監督:庵野秀明評価:A80年代末の燃え×萌えアニメ。良いGAINAX。友情・努力・勝利が25×6分に。縮退度はジャンプ漫画よりも高い。 まだ、みんなと同じ時を生きてる これからおねえさまと二人だけの時間が流れはじめるんだわ…

方丈記

方丈記 (講談社学術文庫) [文庫]著者:鴨長明 訳注:安良岡康作評価:A【粗評】災害語り部おぢさんこと鴨長明。非常にストイック。五つの災禍について語った後、孤高の隠遁生活および心の持ち方について。 世の無常や自己の心の弱さを「抉剔」し尽す。最後に…

吾輩は猫である

吾輩は猫である (角川文庫) [文庫]著者:夏目漱石評価:A【粗評】吾輩は猫である。名前はまだない。苦沙弥先生の臥竜窟に集った「太平の逸民」たちの会合を、人間世界の日常を、猫の日常を、「猫の目玉のようにぐるぐる回転する」外発的な開化に苦悩する明治…

中庸

中庸 (講談社学術文庫) [文庫]著者:子思 訳注:宇野哲人評価:A【粗評】子程子曰、不偏之謂中、不易之謂庸。中者天下之正道、庸者天下之定理。不偏不倚にして過不及無く、時に随い変に処してその宜しきに叶う、「中庸」の徳を身につけたいキミに。科挙を受…

私の個人主義

私の個人主義 (講談社学術文庫) [文庫]著者:夏目漱石評価:A【粗評】漱石は講話の名手だった。そんな旧千円札の名講演5篇を収録。何かに打ち当るまで行くという事は、学問をする人、教育を受ける人が、生涯の仕事としても、あるいは十年二十年の仕事として…

善の研究

善の研究 (岩波文庫) [文庫] 著者:西田幾多郎評価:A【粗評】国産近代哲学の原点。 プラトー、アウグスチヌス、デカルト、カント、ヘーゲル、ゲーテの言葉や聖書の文句を引用しながら、 西田哲学のエッセンスを注入。 もともとが講義の草案であるためか、 …

禅 (ちくま文庫) [文庫]著者:鈴木大拙 訳:工藤澄子評価:A【粗評】Zen. KANZOやINAZOの系譜を継ぐ英文著作。DAISETSU曰く「一読すれば、大体、近代的に禅の何たるかを知得することができる」。たびたび挿入される気違い禅問答が論理を打ち砕く。おそらく禅…

イスラーム生誕

イスラーム生誕 (中公文庫) [文庫]著者:井筒俊彦評価:A【粗評】いかにして、なぜ、ジャーヒリーヤ(無道)時代から天翔ける奔馬のごとくイスラーム世界が誕生したのか、そして、イスラームはどのような宗教的性格をもっているのか。イスラームの碩学・井筒…

細雪

細雪 (上) (新潮文庫) [文庫]著者:谷崎潤一郎評価:A【粗評】ジュンジュン渾身の作。関西弁。名家の美人4姉妹というファンタジー設定も大谷崎の手にかかればこの通り。『細雪』は雪子の「雪」か、はたまた三姉妹の自由な交わりの終焉を意味するのか。まあそ…

日本の歴史をよみなおす

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫) [文庫]著者:網野善彦評価:A【粗評】ほぼ十四世紀に南北朝の動乱という大きな変動がありますが、それを経たあとと、それ以前の十三世紀以前の段階とでは、非常に大きなちがいがある。ですます調で紋切り史観…

おくのほそ道

英文収録 おくのほそ道 (講談社学術文庫) [文庫]著者:松尾芭蕉 英訳:ドナルド・キーン評価:A【粗評】日本の心をキーンが翻訳。現代語訳はないが時代が下っているので問題なく読める。「夏草や」「閑さや」の俳句・短歌だけでなく、地の文も趣満載。芭蕉が…