Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

岩波文庫

西脇順三郎詩集

西脇順三郎詩集 (岩波文庫 緑130-1) [文庫] 編:那珂太郎評価:A【評】天衣無縫、予測不能、回避不可能。博学にしてシュール一歩手前の現代詩。われわれは試されている。コトバのまさかの組み合わせや結びつきに驚嘆せよ。<あむばるわりあ 詩情(あとがき)…

ギリシア・ローマ名言集

ギリシア・ローマ名言集 (岩波文庫) [文庫]編:柳沼重剛評価:A【評】説明不要。古今東西かわらない、旧くて新しい人間のいとなみが、ありありと蘇ってきますね。<希臘篇>21.蟹をまっすぐ歩かせるなどできぬこと。25.すぐに古びてしまうものは何かと問われ…

草枕

草枕 (岩波文庫) [文庫]著者:夏目漱石評価:B【評】山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。あ。これみたことある。住みにくさが高じると、安い所へ引っ越したくなる。…

日本近代短篇小説選 昭和篇1

日本近代短篇小説選 昭和篇1 (岩波文庫) [文庫]編:いろいろ評価:B+【評】北条民雄の『いのちの初夜』目当て。波の方へ体を曲げかけると、「今」俺は死ぬのだろうかと思い出した。「今」どうして俺は死なねばならんのだろう、「今」がどうして俺の死ぬ時な…

古今和歌集

古今和歌集 (岩波文庫) [文庫]校注:佐伯梅友評価:A【評】日本古典文学の鋭鋒。ヤマトのクール宅急便。千年余前のこころが、三十一のことばから、いま、すぐ、ここに蘇って来る。和歌は、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。世の中にある人、事・…

かもめ

かもめ (岩波文庫) [文庫]著者:チェーホフ 訳:浦 雅春評価:B【評】謎のチェーホフラッシュ。劇中劇設定や無駄にキャラが多いのが、劇をムダに複雑にさせている気がする。かもめが飛んだ日、墜ちたのは―――。 ある湖の岸に、あなたのような若い娘が子供のこ…

可愛い女・犬を連れた奥さん 他一編

可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫) [文庫]著者:チェーホフ 訳:神西清評価:B【評】男女のあれやこれやは洋の東西を問わないらしい。どうしたらいいのかわからなくなるときも、あるよね。

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫) [文庫]著者:菊池寛評価:B+【評】表題作二篇がグッド。あとは『俊寛』かな。菊池寛の小説力に瞠目せよ。『忠直卿』考えて見ると、忠直卿は今日の華々しい勝利のうちでも、どこまでが本当で、どこからがうそだ…

五重塔

五重塔 (岩波文庫) [文庫]著者:幸田露伴評価:B+【評】義理も人情も擲ち、五重の塔建立に向け驀進するのっそり十兵衛のお話。落語調の半文語体は、まさに「味わう」文章というにふさわしい。終盤の暴風雨の表現なんてもう。圧倒されるで。その夜の事、五重…

山月記・李陵

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫) [文庫]著者:中島敦評価:B+【評】『李陵』『弟子』『名人伝』『山月記』『文字禍』『悟浄出世』『悟浄嘆異』『狼疾記』その他。古典に取材した作品群には、硬質かつ流麗な文章が並ぶ。近代的自我、文字、歴史などが主たるテ…

正法眼蔵随聞記

正法眼蔵随聞記 (岩波文庫) [文庫]編:懐奘 校訂:和辻哲郎評価:A【評】主君父母も我に悟りを与ふべからず。妻子眷属も我が苦みを救ふべからず。財宝も我が生死輪廻を截断すべからず。世人も我をたすくべきにあらず。非器なりと云ひて修せずんば何の劫にか…

夢十夜

夢十夜 他二篇 (岩波文庫) [文庫]著者:夏目漱石評価:B+【評】夢幻の世界へさあ行こう。「こんな夢を見た」ではじまる一話完結全十話の『夢十夜』、『文鳥』『永日小品』を収録。表題作第一話の枕元の女、第六話の木に埋まった仁王の話はあまりにも有名。『…

ベートーヴェンの生涯

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫) [文庫]著者:ロマン・ロラン 訳:片山敏彦評価:B【評】彼らの生涯の歴史の中に読み採ることは、――人生というものは、苦悩の中においてこそ最も偉大で実り多くかつ最も幸福でもある、というこのことである。 母の死、聾疾、…

雪国

雪国 (岩波文庫 緑81-3) [文庫]著者:川端康成評価:B+【評】国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。小太りしまむらをテコに駒子、葉子二人の女の官能美を描く。冒頭の車中の葉子の描写は白眉といってよい…

小さき者へ・生れ出ずる悩み

小さき者へ・生れ出ずる悩み (岩波文庫) [文庫]著者:有島武郎評価:B+【評】『小さき者へ』パパの渾身のお手紙。大きくなったら、見てね。お前たちの母上が最後の息気を引きとるまでの一年と七カ月の間、私たちの間には烈しい戦が闘われた。母上は死に対し…

ブッダのことば

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫) [文庫] 訳:中村元【評】ハジメが梵語から訳出した、仏教最古の聖典。ゴータマさん、道場破りないし悩み相談に来た訪問者をあざやかに対処していく。生きとし生けるものへの愛、因果、輪廻、無常、分別・五根・執…

コーラン

コーラン 上 (岩波文庫 青 813-1) [文庫]訳:井筒俊彦評価:B+【評】慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において・・・・・・まあ、これを聞いてくれ。 歌だ。神を讃え、世界に感謝する歌だ。 こっちはちょっと違った風ぢゃぞい(・ε・)ムハンマドがジブリ…

創世記

旧約聖書 創世記 (岩波文庫) [文庫]訳:関根正雄評価:B+【評】天地創造、楽園追放、ブチ切れカイン、ノアの洪水、バベルの塔、アブラハムの信仰、ソドムとゴモラ、イサクの嫁選びなど、読み物的おもしろさがある。全知全能のはずが目論見がよく外れるドジッ…

桜の園

桜の園 (岩波文庫) [文庫]著者:チェーホフ 訳:小野理子評価:C【評】旅立ち前のスーツケース腰掛けシーンと、アーニャ「しゅっぱーつ」。いいよね。

貧乏物語

貧乏物語 (岩波文庫 青132-1) [文庫]著者:河上肇 評価:B+【評】100年前のビンボなお話かと思いきや、統計グラフや表など意外と知的だった。労働者の最低限摂取カロリーから求めた貧乏線、貧乏船から定義した貧乏人。「世界最富国の一たる大英国にも、肉体…

論理哲学論考

論理哲学論考 (岩波文庫) [文庫]著者:ウィトゲンシュタイン 訳:野矢茂樹評価:B【評】思考の限界、私の世界の限界。それは、言語の限界、論理の限界であるとの考えが示される。論理空間、真理関数などの数学チックな話になると撃沈。およそ語られうること…

パイドン

パイドン―魂の不死について (岩波文庫) [文庫]著者:プラトン 訳:岩田靖夫評価:B+【評】死を目前に控えたソクラテスと集まった弟子たち。哲学者は「純粋な思惟それ自体のみを用いて、存在するもののそれぞれについて純粋なそのもの自体のみ(真実在)を追…

意識と本質

著者:井筒俊彦【評】 東洋哲学――その根は深く、歴史は長く、それの地域的拡がりは大きい。さまざまな民族の様々な思想、あるいは思想可能体、が入り組み乱れて、そこにある。 東洋哲学の諸伝統を、時間軸からはずし、それらを範型論的に組み換えることによ…

歎異抄

歎異抄 (岩波文庫 青318-2) [文庫]著者:唯円 校注:金子大栄評価:A【評】親鸞聖人のお言葉集。そして異を歎く抄。如来の阿弥陀に、他力の本願に、身も心も委ねてしまおう。善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。自力のこころをひるがへして、他力を…

メノン

メノン (岩波文庫) [文庫]著者:プラトン 訳:藤沢令夫評価:B+【評】「人間の徳性というものは、はたしてひとに教えることのできるものであるか」というテーマで漫才を繰り広げる。かなり読みやすい。「正しい思わく」というジョーカーが出現して論争は解決…

パイドロス

パイドロス (岩波文庫) [文庫]著者:プラトン 訳:藤沢令夫評価:B【評】論A(劣)→論B(優)というプラトン大好きな戦法。まず共通理解をたしかめてから議論に臨もう。輪廻観の話もおもしろい。お互いにちゃんと同意を得ておかないものだから、さて先に進ん…

芭蕉俳句集

芭蕉俳句集 (岩波文庫) [文庫]校注:中村俊定評価:A【評】バショウ・ザ・オナジミ・ラッシュ。あとはキミの目で確かめろ!!!【レジェンド俳諧】山路来て 何やらゆかし すみれ草 古池や 蛙飛込む 水のをと草の戸も 住替る代ぞ ひなの家夏草や 兵共が ゆめ…

蝸牛考

蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7) [文庫]著者:柳田国男評価:C【評】言語地理学のはしり。「方言周圏論の提唱である」ということだが、カタツムリの異称集めの域を出ない。 『全国アホ・バカ分布考』でも読んでみては。

柿の種

柿の種 (岩波文庫) [文庫]著者:寺田寅彦評価:B【評】一ページ乃至二ページのつぶやき集。トイレのお供にどうぞ。 やっぱり随筆はある程度の分量があったほうが面白い。

竹取物語

竹取物語 (岩波文庫) [文庫]校訂:阪倉篤義評価:B+【評】岩波文庫にしては註が親切。貴公子たちの撃退、オキナとの掛け合い、「衣着せつる人は、こころ異になるなりといふ。物一こと言ひをくべき事ありけり」の別れ。五人の貴公子それぞれにオチがあってよ…