著者(監督):アンヌ・フォンテーヌ
【概要】
設定が重すぎるが直接的な描写はほぼない。醜悪な試練を無垢な生命のに変えられるところに女の強さがあるのかもしれない。救いある解決策が提示されて安心した。畢竟、信仰とはポジティブシンキングなのかもしれない。あとLou de Laage(略
【詳細】
<あらすじ>
原題:Les innocents.
1945.12.ポーランド。
悲痛な声が響き渡る夜の修道院。
そこにいたのはいるはずのない妊婦。
なんだかんだお人好しなフランス人女医を呼んで、とりあえず帝王切開。
讃美歌の調べが響く夜明けの祈り。
修道女たち、どうやらソ連兵に蹂躙されていた模様。
院長の指示のもとアングラ出産が要請される(すでに院長の頑迷な面が)。
ポーランド赤十字には頼れない事情があったのね。
女医さん、飲み屋で同僚のオッさんといい感じ。
神の花嫁になるはずだった修道女と女医さんのベッドインの対比が効く。
そんなわけで修道院通いを続けていた女医さんだったが、ある晩の帰り道、ソ連兵にちょっかいを出される(手に汗握るも未遂に了る)。
しゃあなしで修道院に泊めてもらう。
すると翌日、ソ連兵の荒々しい足音が。記憶かと思ったらマジで来た。
チフス感染者ありとの機転を効かせ難を逃れる。
助産とこの一件で、アウトサイダーの女医さんも修道女に心を許してもらったよう。
ここまできたら過労になっても怪しまれてもやるっきゃない。
雪路を自転車で行っちゃうくらいやりがいを感じてしまう。
「神の思し召し」「父親が手を放す瞬間、信仰が試される」
「信仰は24時間の疑問と、1分の希望」
みんなご立派にそう言うが、コミュニストの女医さんの前には神の摂理は説得力もいまひとつ(女医さんに入所前の恋愛遍歴を漏らす者も)。
ただ、女同士だから女の身に生まれた苦難はよくわかる。
おフランス赤十字の任務終了の日が近づく。
そんななかWお産で手が足りない案件発生。同僚のオッさんも呼んでくる(ついでに朝帰りのネタばらし)
幼児の産声が響き渡る一方で院長の手により行われていた幼児遺棄、そして或る修道女の自殺(編みかけの服がテーブルにあるのがツラい)。
望まない妊娠とはいえ、お腹を痛めて産んだ子だもの。神の名を盾に殺すことは許されぬ。
院長の専横を終わらせ、嬰児を生かし孤児も救う妙案。
それは、修道院・兼孤児院への変身。
救いあるかなしみをやさしさにEND。
修道院の門を去る者・入る者・残る者、異国に帰る者みなに幸あらんことを。
エピローグ的に修道院で記念撮影。
そしてその写真を上衣のポケットから取り出すマチルダさんのどアップで〆。
<印象>
- 讃美歌の調べが美しい。
- 男の暴力性と生命の尊厳、信仰をたもつ難しさ。そして女の弱さと強さ。
- Lou de LAÂGEの顔アップは観ているこっちが恥ずかしい。
- 外と内、国籍、言葉、思想、立場、そういったものの対比。
- 黒と白の対比が面白かった(僧服と冬の森)。黒い被り物の方が上位ランカーなのか?
- エンドロール、-SKA,-SKI系の名前が多く、東欧感が出ていた。
- ピアノ、編み物、ボードゲームなどの休憩時間の過ごし方。