Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

「香り」の科学


著者(監督):平山令明

【概要】
「科学」というより「化学」の本。嗅覚の研究は歴史が浅くフロンティアを未だ多く残している。
水蒸気蒸留(蒸気圧、分子拡散)や匂いを感じるメカニズム、匂いを生み出す多種多様な化学物質。
GCはもとよりMS,IR,NMRなどの分子構造分析法も紹介されており勉強になる。 

【詳細】
プルースト効果から話し始め、
匂い物質の取り出し方(⇒[蒸留]蒸気圧、分圧、水蒸気蒸留、[抽出]溶媒、超臨界CO2)、
匂いを感じるメカニズム、匂いを生み出す多種多様な化学物質、分子量と揮発性、不飽和度や幾何異性体光学異性体が匂いにもたらす効果、匂い測定の難しさ(補足:分子構造分析法)など、11の章立てで話を進める。

匂いの定量化もまだ不十分で、匂い物質の分子構造にも規則性があまりない。
嗅覚研究は科学のフロンティア。視覚や聴覚にかき消されていた嗅覚の叛逆が始まった。 
五感のうち、視覚や聴覚と違って他の三つはネットで調べても感じることのできれない知覚であることをしみじみ思った。

研究者、技術者の端くれとして、以下の言葉はズシッと来たね。
究極の分析を行わずに全体を理解しようとする試みは常に定性的な結論しか導くことはできず、定性的な知識は必ずしも役に立ちません。部分から全体への理解には、まだ難しい問題がたくさんあるかもしれませんが、それを諦めると科学の進歩は頭打ちになってしまうと思います。