Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

読書と人生

著者:三木清
評価:B

【概要】
ミッキーが自身の読書遍歴や読書法、哲学の学び方などを開陳する。大正や昭和前期のエリートの読んでいた本や流行の思想を饒舌に語ってくれる。西田幾多郎波多野精一田辺元ハイデガーなどが事もなげに登場しているところに時代の幸運と勢いを感じる。

【詳細】
京都へ行ったのは、西田幾多郎先生に就いて学ぶためであった。高等学校時代に最も深い影響を受けたのは、先生の『善の研究』であり、この書物がまだ何をやろうかと迷っていた私に哲学をやることを決心させたのである。
一高や京都、ドイツでの学究生活を数々の書物とともに振り返る。
影響を受けた人がもはや歴史上の人物と化している。
・考え方:西田幾多郎
・研究の方向:波多野精一
・本の読み方:ハイデッゲル

<読書・哲学>
藤村等の近代日本文学、ロシア文学聖書や『歎異抄』『パンセ』が推しらしい。
哲学初心者には、プラトンの対話篇や『方法序説』を薦めている。
流行にとらわれることなく、どこまでも自分に立脚して勉強することが大切である。そして先ず自分に合った一人の哲学者、或いは一つの学派を勉強して、その考え方を自分の物にし、それから次第に他に及ぶようにするのが好くはないかと思う。

抽象的に普遍的なものを求むべきでなく、特殊的なもののうちに普遍的なものを見る眼を養わなければならぬ。

難解なものにぶつかってゆく勇気と根気が大切である。考えることを学ぶには解説書によってはいけない。問題の根源において捉えた書物と直接取組んで勉強することが肝要である。

自分で原点にあたって研究することが大切である。原語で読むに越したことはないが、たとい翻訳であっても、古典は完全な形で読むべきである。

真の読書においては著者と自分との間に対話が行われるのである。しかも自分が勝手な問を発するのでなく、自分が問を発することは実は著者が自分に問を掛けてくることであり、しかも自分に問題がなければ著者も自分に問を掛けてこない。かくして問から答へ、答はさらに問を生み、問答は限りなく進展してゆく。この対話の精神が哲学の精神にほかならない。

学生の時代に読書の習慣を作らなかった者は恐らく生涯読書の面白さを理解しないで終るであろう。

東西古今のあらゆるすぐれた人に接することができるというのは読書における大きな悦びでなければならない。

読書を欲する者は閑暇を見出すことに賢明でなければならぬと共に、規則的に読書するということを忘れてはならない。

<キタロー>
この時代に私は学生であったことを、誇りと感謝なしに回想することができない。

先生はいつでも「それは面白かろう」といって、それに関聯していろいろ先生の考えを述べて下さる。


お目にかかるといつも「まだまだこれからだ」と云われる。こうして先生は倦むことなくいちずに一つのものを追求されている。

<人生…かな>
人生は冒険である。恥ずべきことは、誤謬を犯すということよりも寧ろ自分の犯した誤謬から何物をも学び取ることができないということである。