評価:B
【概要】
現場指揮官の心得と人心掌握の秘訣を説く。警備の現場経験があるため著者の言葉に重みがある。アレクサンドロス・ザ・グレートやハンニバル、スキピオ、アッティラやナポレオンになりたい人は読むべし。やはりリーダー教育は重要だと思う。そして、読書が人格陶冶や精神修養に役立つと信じたい。
【詳細】
まず序章。村山富一を盛大にdisりながら、
平時体制とシステムを一瞬にして切り替え、「決断」「責任」「指揮命令」「従わぬ者への強制」という、苦しい非情な任務を果たすのが、「指揮官」の宿命的な使命なのである。と宣言して開幕。
『海軍次室士官心得』『部下から見た監督者論』を中心にした、古今東西のリーダー論の総集編。自身の気骨のあるエピソードや実際に見聞きした具体例をどしどし開陳するのも説得力があっていい。
適宜挿入される笑い話(ユーフォー出動、鍵チャラチャラ、伝言ゲーム、半分砂入りバケツ)も良い。
付章のダメ上司集はもう見ていられなかった(生産性参照)。
<表情・感情の手綱を握る>
指揮官は自分の表情に恐れ、不安、躊躇、狼狽など、内心の動揺を表さないよう、自分の気持ちをコントロールしなくてはいけない。<身だしなみに気を遣う>
現場指揮官の原始的な資格要件の一つは、立派な外観、背筋を伸ばした正しい姿勢、落ち着いた態度、抑制の利いた表情、いわゆる"貫禄"とか"押し出し"というものなのだ。<人格を記憶する>
部下の名前と顔を覚えることが、着任後真っ先にやるべきことである。
<苦難をともに耐える>
「野戦で雨が降ってきたら、部下とともに濡れている」ということも、現場指揮官の大事な心得の一つである。
<立ち向かう>
部下に質問されたら、はぐらかしたり、知ったかぶりしたり、ハッタリでごまかしてはいけない。管理職は自分の担当する仕事について、自分の部下から、つねに質問を受ける可能性があることを覚悟していないといけない。
<ネアカである>
献身的な熱意と陽気な快活さの二服の薬を服用しようとする海軍士官は、その成果に驚くであろう。<興味・関心を持つ>
今、なにが起こっているのかを知りたいという、燃えるような、"野次馬根性"が大切なのだ。
<綿密に計画する>
予算、輸送、通信、給食、宿泊、救護、装備資器材などなど「後方支援=ロジスティクス」の部分のページ数が少ない警備計画は、ただちに差し戻し、作り直し命令の対象となる。
<日々鍛錬する>
「俺の知ったことではない」と第三者的に傍観していないで、つねに自分ならどうすると、自分なりの結論を出す訓練、「決断の見取り稽古」をして修行するとよい。
<一体感を高める>
指名や質問によって、部下の献策や改善案、代案を引き出し、出席者たちが発言したことによってスッキリした気分になり、何か仕事を成し遂げることに貢献したいう参加者意識を抱いて会議室を離れるように仕向けなければいけない。