評価:B
【概要】
かつゆきとひでゆきが中世後期日本と現代ソマリランドの共通点についてトークする。軽いノリながらもお互いに学問の素養があるため、興味深い方向に話をドライヴさせていき、多くの問題提起や仮説を繰り出していく。
【詳細】
「世界の辺境」と「昔の日本」はともに現代の我々にとっては異文化世界であり、二つを比較照合することで、両者を立体的に浮かび上がらせることが可能になるのだ。
支配の論理、都市の空気、アジールや被差別民の存在、時空間の概念(サキとアト)など、話題は多岐にわたるが、中世と辺境に共通するダイナミズムが興味深い。
中世の文書は、一人の研究者が一生をかけてざっと見ることができるくらいの量が残っているので、トータルな時代イメージをつくり上げていくのに一番向いているんです。ふたりの半生記も面白い。
なかでも、清水の研究者を目指すきっかけ「もう一周しますか」「自分の中に特殊な核となるものがないと、食べていけない」がグッときた。
僕は学生に対していつも言っているんですよ。今生きている世界がすべてだと思わないでほしいって。それとはぜんぜん違う論理で動いている社会があるんだし、我々の先祖の社会にも今とはぜんぜん違う仕組みがあった。その仕組みを勉強しても直接的には役に立たないけれど、そういう社会があったって知るだけで、ものの見方が多様になるんじゃないかって言っていますね。
「ブラックマジシャン」や「セカンドインパクト」には笑った。