Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

ヒトラーの忘れもの(英題:LAND OF MINE)

監督:マーチン・サントフリート
評価:B+

【評】
たぶんMINE(地雷)とMINE(俺らの)にかけてる。まあここ見てよ。
敗戦国ドイツの少年兵11人がマインスイーパーとなり、デンマークの砂浜に埋められた45000個もの地雷除去を命じられる。無責任な大人のケツ拭いをさせられる不条理と人間の醜い感情、そして最後に残った良心に心打たれる。

ただひたすらに、憎き敵国兵のお目付け役を命じられた軍曹(渡辺謙に似てる)と少年兵たちの心の距離を描く。
話は単純で地味だが、軍曹の心理は複雑で虹色。ツン⇒デレ⇒ツン⇒デレと屈折した感情の移り変わりは、実に人間の心の美醜をあざやかに描いており好感が持てる。

序盤は軍曹殿のクイックな動きや鉄拳制裁、耳を聾する軍隊語にこちらまで身がすくむ。
さらに追い打ちをかけるように心臓に悪い地雷除去シーンが始まる(匍匐前進しながら砂の中を棒でつつく⇒地雷発見⇒つまみを回す⇒分解)。しかも栄養状態は最悪。
軍曹、さすがに少年たちを憐れと思ったのか、食糧調達を開始。 
ちゃんセバとの十字架ボーン!やビーチフラッグス、砂浜フットボールを経て、父子然とした関係になっていく。「目を見て話せ」はもはや父親
ところがどっこい、ワンコ爆死で揺り戻しが来てしまい、また態度が硬化する。

それにしてもよく爆発する。
練習ドーン、体調不良ドーン(弟)、二段重ねドーン、ワンコドーン、無音ドーン(兄)、連鎖ドーン
の6回。しんどい。
そんなこんなで10/(11+3)の死亡者を出しながらもなんとか除去完了。
したかと思いきや、本国送還予定の少年兵たちが地雷原スカリンゲンへ送られるとの決定が。処理する地雷は更に増えて72000個。
下士官の苦しいお立場を踏み越え、軍曹さすがに激怒。
ドナドナと見せかけて国境付近で少年兵を下ろす。「逃げろ。」
恩讐の彼方に。人間捨てたもんじゃない。

デンマークに残された150万の地雷は、2000人にもおよぶ少年兵によって処理され、その半数以上が死傷したという。
敗戦後の日本も機雷除去で多くの犠牲を出したという。
地雷を気にしなくていい世界で生きているだけで幸せだ。

※人間や動物には危害加えてないよ宣言はもはや定番。
※基本はドイツ語だがたまにデンマーク語がコンニチハする。