Javaさんのお部屋・改

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

北村透谷選集

著者:北村透谷 校訂:勝本清一郎
評価:B

【概要】
彼の遺した詩や評論を辿りながら、理想と現実のあいだを激しく行き来した25年の生涯に思いを馳せる。収監経験や世の事々を論じていく姿勢はなかなか興味深いが、若さゆえか、若干青い。

【詳細】
とうこく、明治と年齢が同じ。
時代に先駆け夭折したことを惜しんでの評価と見た。
まずは詩。

『楚囚之詩』
四人は一室にありながら
 物語りする事は許されず、
四人は同じ思ひを持ながら
 そを運ぶことさへ容されず
各自限られたる場所の外へは
 足を踏み出す事かなはず、
  たゞ相通ふ者とては
  仝じ心のためいきなり。

中にも余が最愛の花嫁は、
 走り来りて余の手を握りたり、
彼れが眼にも余が眼と同じ涙――
 又た多数の朋友は喜んで踏舞せり、
先きの可愛ゆき鶯も爰に来りて
 再び美妙の調べを、衆に聞かせたり。

『みゝずのうた』 
うたんとすれば、「やよしばし。
(中略)
人のむさしといふところをおのれは知らず、
人のちりあくた捨つるところに
われは極楽の露を吸ふ、
こゝより楽しきところあらず。

「きのふあるを知らず
あすあるをあげつらはず、
夜こそ物は楽しけれ、
草の根に宿借りて
歌とは知らず歌うたふ。」

『眠れぬ蝶』
夕告げわたる鐘の音に、
  おどろきて立つ蝶ふたつ。
こたびは別れて西ひがし、
  振りかへりつゝ去りにけり。

「恋愛は各人の胸裡に一墨痕を印して、他には見ゆべからざるも、終生抹する事能はざる者となすの奇跡なり」
「想世界と実世界との争戦より想世界の敗将をして立籠らしむる牙城となるは、即ち恋愛なり」
「恋愛は一たび我を犠牲にすると同時に我れなる「己れ」を写し出す明鏡なり。男女相愛して初めて社界の真相を知る」
「人間はいかにいかなる高尚の度に達するとも、畢竟するに或種類の偶像に玩弄せらるゝに過ぎず、悟るといふも、悟ること能はざるが故に悟るなり」
などの言葉には、彼の才能の片鱗を感じなくもない。
だが、「思想」にまでは至っていない印象か。若いしね。

「尤も愛好すべきは処女の純潔なるかな」「復讐は快事なり」
などの、そこだけ切り取ると刺さる(捕まる)フレーズも見逃せない。

巻末の人物解説に愛を感じる。
「十三歳で卒業すると、(中略。めっちゃ長い)…などが矯激に且つ早熟に展開する」
透谷は門太郎という名とあから顔のためにモンキーというあだ名で同窓のあいだに記憶された
これが一番面白かったのは秘密。