Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

羅生門

著者:黒澤明
評価:A

【評】
芥川の原作1(羅生門)原作2(藪の中)をミックスしつつ、オリジナリティを加えたKUROSAWAの名作(1950)。
必要最低限の登場人物しかいないので筋肉質な内容。

<おはなし>
雨にけぶる崩れた城門「羅生門」に宿る杣売りと旅法師。
杣売りと旅法師はある事件を縁に出会った。
そこに下人が加わり、その事件を話すようせがむ。

杣売りが侍・武弘の遺体を見つけたと検非違使に報告すると、話がどんどん広がっていく。
目撃者の法師、放免が登場し、多襄丸なる盗賊が舞台に登場する。
丸、侍の妻・真砂、巫女(武弘代理)に証言させたところ、
多襄丸により、真砂がNTRたのだ。
そこまでは共通しているが、そこからの証言が三者三様で食い違う。
それぞれが侍を殺したのは自分だと言う。いったい誰が正しいのか、真相は藪の中

と、ここで舞台は羅生門杣売りの証言が登場。もう何が何だか。
どうやらみんな見栄を張っていたらしい。
下人「それも当てにはならねえよ」vs.法師「信じられなくなったらこの世は地獄だ」
と応酬する中、最後に捨て子が登場。
赤子の服を剥ぎ取る下人を咎める杣売り。お互い様だと罵り去る下人。

ここで、この捨て子という舞台道具が効いた。ここが黒澤のオリジナリティ。
これは、杣売りも下人同様盗人であったことがバレるきっかけになりつつも、
杣売りの「この子を引きとって育てたい」という言葉が、法師に希望を抱かせる鍵になっている。
その言葉だけは真実であると信じたい法師の視線を背に、杣売りは家路に就く。

<はいゆう>
豪快な野生児をやらせたら三船の右に出る者はいない。
「ウヒャヒャヒャ」「イヤーッハハァ」とぴょんぴょん跳ね回る。
いわゆるチャンバラではなく、草むらや樹を盾にホントに泥仕合で斬り合っている感じがリアルで良い。
フェイントや型破りな剣術には魅入る。 

妖艶と激情を演じて見せた京マチ子も良かった。
侍は…徹底的に人格を剥奪されていたな。

<その他>
昔の映画にありがちだが音質が悪い。
何を言っているのか非常に聞きとりづらいので、ノイズ除去とボイス音量増を要請したい。
でも 、独白から再現VTRに入る流れは巧みだった。