Javaさんのお部屋・改

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

一千一秒物語

著者:稲垣足穂
評価:B

【評】
奇妙奇天烈摩訶不思議、
出前迅速四捨五入、
シュールでナンセンスなタルホワァルド。

一千一秒物語」「黄漠奇聞」「チョコレット」「星を売る店」だけ読んだ。

これらの物語の世界では、星や月はすぐに手が届くもの。
ex.)
「月は槍の穂先にひっかけられて、くるくると廻りながら、遠からぬ岩肌の上に落ちた」(「黄漠奇聞」)
「彼らの頭上にある星屑を、先に袋がついた長い竿でかき集めているところである」(「星を売る店」)

一千一秒物語
ある夜 友だちと散歩しながら お月様の悪口を云った 友だちがだまっているので
「ねえ そう思わないか」
と云いながら横を向くと お月様であった

ある晩 四辻を横切っていると お月様がやにわに自分のわき腹へピストルをあてがった

いつもお月様は突然現れる。冷徹な殺意をたずさえて。
この後、殴り合ったり追いかけっこしたり、粉々になったり元のように空に浮かんでいたりする。

でも、たまにはいいことも言う。
この不思議は たぶん その夜降るように空いっぱいに詰っていた星屑のせいだろうということに衆論が一致した

『黄漠奇聞』
白亜の王都は日月星辰に煌めく。その美しく全き都には、お約束というべきか、滅びの影が忍び寄りはじめる。
曰く、「完全の中に住むように作られていない人間に加えられる永遠そのものの圧迫である。余りにも調和された事柄の中で人間がおぼえる倦怠である。」
濡れていっそう透きとおるばかりになった大理石の都の上に色鮮やかな虹の輪が立った! 夢見心地の王と侍臣がそのまま釘付けになっているうちに、時刻は魔法のように移って、真白い都は紅から紫に変り、あたりは金銀にきらめく星模様の緞帳に包まれてしまった。……

いましも砂に沈んだばかりの陽を受けて燃えたつ紅に染まっていた都は、束の間に黄色となり、まばたくうちに樺色、紫……夕ぞらを反映するバブルクンドはいつもながら見る人の胆を奪うけれど、この夕べはひとしおであった。

というわけで滅ぶ。
その一夜に数千年の時が流れた。夜が明けた時、もはやそこには白い大理石の一片すら見出されない。風が砂の山を造りまたそれをこわして、千万回もすぎて行ったあとである。 

『チョコレット
きみがこの地球上から仰いで空ッポな場所だと思い込んでいる所にだって、君が夢さら考えたことのないきれいな、奇妙なものでいっぱいなんだぞ。

 それに気がついたとき、人は詩人になる。