Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

万葉秀歌

著者・選:斎藤茂吉
評価:A

【評】
モキチがチョイスした三十一文字の言の葉が舞う。吾こそは大和の民なるぞという者は必読。
音やことば、助詞の選択などの作歌技法の分析もまじえつつ、名品を合計1000首程度紹介していく。
率直で飾り気がなくありのままの万葉調の歌からは、
1300年前も同じ風が吹き、同じ花が咲き、同じ月を見ていたことを改めて感じとることができる。
額田王、柿本人麿、山部赤人山上憶良大伴家持ほか作者不詳軍団がキミを待っている。
連綿と受け継がれてきた和語に泣き笑いせよ。

モキチ曰く、

「言葉が順当に運ばれて、作歌感情の極めて素直にあらわれた歌ではあるが、さればといって平板に失したものではなく、捉うべきところは決して免がしてはいない」
「万葉のこういう歌でも実質的、具体的だからいいので、後世の「きぬぎぬのわかれ」的に抽象化してはおもしろくないのである」
「万葉の歌は万事写生であるから、縦い平凡のようでも人間の実際が出ているのである」
「若しこれを古今集以後の幾万の歌に較べるならば、これはまた徹頭徹尾較べものにはならない。それほど万葉集の歌は佳いものである」

でも、
「寓意の如きは奥の奥へ潜めて置くのが、現代人の鑑賞の態度でなければならない」
「寓意寓意といって、官位のことなどを混入せしめるのは、歌の鑑賞の邪魔物である」

<レジェンド系>
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
→むしろ見せたれ。

春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山
→青い空、白い雲、青い山、白い花。

ひむがしの野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
→光と闇、東と西、太陽と月。

婇女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く
→淋しげに服が翻る光景が目に浮かびますね。

秋山の樹の下がくり逝く水の吾こそ益さめ御思よりは
→見えぬけれども。
磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらば亦かへり見む
→真幸くありま、せ〜ん。

磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと云はなくに
→これ好き。ありと云えよ。おねがいだから。

淡海の海夕浪千鳥汝が鳴けば心もしぬにいにしへ思ほゆ
→上の句の流動感ね。

田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ不尽の高嶺に雪は降りける
→冬の暗い海と白い雪が対照的ですね。

あをによし寧楽の都は咲く花の薫ふがごとく今盛なり
→すぐ遷都しますけどね。

銀も金も玉もなにせむにまされる宝子に如かめやも
→オクラの代名詞。

若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る
→写生感ね。簡潔さね。

大和路は雲隠りたり然れども我が振る袖を無礼と思ふな
→全然なめくないよ。もっと振っていいよ。

ますらをと思へる吾や水茎の水城のうへに涕拭はむ
→泣いてもいいぢゃない。に(略

石激る垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも
→上の句の流動感ね。ミネラルウォーター感ね。

あしひきの山鳥の尾の垂り尾の長き長夜を一人かも宿む
→いかにも長そう。君にとってはどんだけ長いんだ。

<おもひおもはれふりふられ系>
紫草のにほへる妹を憎くあらば人嬬ゆゑにあれ恋ひめやも
→道ならぬ恋も権力で打ち砕け。

二人行けど行き過ぎがたき秋山をいかにか君がひとり越えなむ
→心配だわな。

石見のや高角山の木の間よりわが振る袖を妹見つらむか
→見えてると信じよう。

青駒の足搔を速み雲居にぞ妹があたりを過ぎて来にける
→青駒のせいにすんなよ。

君待つと吾が恋ひ居ればわが屋戸の簾うごかし秋の風吹く
→胸キュンですな。

今更に何をか念はむうち靡きこころは君に寄りにしものを
→「靡き」がいいね。

春日山おして照らせるこの月は妹が庭にも清けかりけり
→同じ月を見ていた。

春雨に衣は甚く通らめや七日し零らば七日来じとや
→理由になってないとお怒りですぞ。

さを鹿の入野のすすき初尾花いづれの時か妹が手まかむ
→手ェ纏きたいな〜、あの娘のな〜。

吾が背子を今か今かと出で見れば沫雪ふれり庭もほどろに
→背子ちゃうやんけ〜、沫雪やんけ〜。

人の寐る味宿は寐ずて愛しきやし君が目すらを欲りて歎くも
→目と目合わせたいわ〜。

苅薦の一重を敷きてさ寐れども君とし寝れば寒けくもなし
→人肌がいっちゃんええわ〜。

念はぬに到らば妹が歓しみと笑まむ眉引おもほゆるかも
ワクテカニヤニヤやわ〜アツいわ〜。

彼方の赤土の小屋に霖降り床さへ沽れぬ身に副へ我妹
→妹とおったら寒ないわ〜。

あしひきの山沢回具を採みに行かむ日だにも逢はむ母は責むとも
→オカンなんか知らんわ〜。

神南備の浅小竹原のうるはしみ妾が思ふ君が声の著けく
→君の声だけなんか効くわ〜。

さ寝かにば誰とも宿めど沖つ藻の靡きし君が言待つ吾を
→下の句の力強さがいいね。

上毛野安蘇の真麻むら掻き抱き寝れど飽かぬを何どか吾がせむ
→どんな感触なんだ。実は抱き枕じゃなかろうな?

帰りける人来れりといひしかばほとほと死にき君かと思ひて
→下の句の必死感ええわ〜。純な感情やわ〜。

春さらば挿頭にせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも
→セクシーかつサビシーね。

事しあらば小泊瀬山の石城にも隠らば共にな思ひ吾背
→な、吾が背♡

春の苑くれなゐにほふ桃の花した照る道に出で立つ嫺嬬
→中国趣味やわ〜。藤村やわ〜。

我が妻も画にかきとらむ暇もが旅行く我は見つつ偲ばむ
→ベッピンに描いといてな。

筑波嶺のさ百合の花の夜床にも愛しけ妹ぞ昼もかなしけ
→心の休まる暇がないわ〜。妹かわいいわ〜。

<しみじみ系>
憶良等は今は罷らむ子哭くらむその彼の母も吾待つらむぞ
→中座の理由にどうぞ。

防人に行くは誰が夫と問ふ人を見るが羨しさ物思ひもせず
赤紙いつくるかわからんで〜。

うち日さす宮の吾背は大和女の膝枕くごとに吾を忘らすな
→膝枕vs.記憶、ファイッ!

福のいかなる人か黒髪の白くなるまで妹が音を聞く
→ええ夫婦や…。

英虞の浦に船乗りすらむをとめ等が珠裳の裾に潮満つらむか
→濡れる裾を連想させるのがごっつやらしいわ〜。

引馬野ににほふ榛原いり乱り衣にほはせ旅のしるしに
→香水代わりにつけてこ。

北山につらなる雲の青雲の星離りゆき月も離りて
→山、雲、星、月。

敷妙の袖交へし君玉垂のをち野に過ぎぬ亦も逢はめやも
→来世でな!

百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ
→ラスト・バードウォッチング。

妹と来し敏馬の埼を還るさに独して見れば涙ぐましも
→もういない。

悔しかも斯く知らませばあをによし国内ことごと見せましものを
→もっと、いっしょに、いろいろなところ、いっておけばよかったね。

朝床に聞けば遥けし射水河朝漕ぎしつつ唱う船人
→のどかアンドのどか。

新しき年の始に思ふどちい群れて居れば嬉しくもあるか
→駅伝観るか。

<おもろー系>
賢しみともの言ふよりは酒飲みて酔哭するし益りたるらし
→下戸のこともよろしくね。

稲舂けば皹る我が手を今宵もか殿の稚子が取りて嘆かむ
→という妄想でした。ありがとうございました。

君が行く道の長路を繰り畳ね焼き亡ぼさむ天の火もがも
→発想の勝利。

吾はもや安見児得たり皆人の得がてにすとふ安見児得たり
→どんだけ嬉しいんだ。おめでとう!

<グッときた言の葉集>
「常少女」「けふけふと吾が待つ君は」
「遠き木末の咲きゆく見れば」
「ほどろほどろに」「しくしく思ほゆ」 「いつもいつも」「ぬるぬる」