Javaさんのお部屋・改

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

全世界史

著者:出口治明
評価:B+

【評】
マチュア歴史家が世界の歴史をまとめあげんと試みた。
「なぜ」「どのようにして」といった知識定着に有効なギミックは勿論、
著者の得意とするビジネス感あふれる表現が目を引く。
「早い話が火事場泥棒です」
「なにしろ始皇帝ワーカホリック
B.C.500頃の「高度成長」
バグダードプロジェクトの莫大な有効需要
「クビライの時代には、消費税を考えたり、フレグウルスとのビジネスを取り仕切ったりするわけですから、多言語を自由に操るグローバルな人材が求められました」
「いつの世でも、開国・自由貿易財政再建が国を強くするのです」
雍正帝は市長段階まで拡大し、およそ1200人分のメールを定期的にチェックして、指示を送り続けました」

近代以降になるとGDPのシェアが出てくるようになり、
ますます経済と人間は密接につながっていると感じるようになる。

中国、イスラーム国家の偉大さを再評価するのはもちろん、
トゥール・ポワティエ、モンゴルでの欧州マンセーや他民族disにドロップキック。
そして倭国傭兵国家論はゆずれない。

名君、名宰相が時折現れ、
知の爆発、伝承、喪失が繰り返されてきた。
ヒト、モノ、カネ、情報の開放、閉鎖を繰り返してきた。
だが、いつも国を強くしたのは、
寛容さ、柔軟さ、怜悧な思考だった。

気候変動などの偶然の条件(長波)と、世の中の大きな流れ(中波)と、高い能力を持った個人(短波)と、この三つの波長があったときに、大帝国ができるのです。 

古来、政権を強化しようとする改革は、貧富の格差を嫌い、中間層を育てようとします。大商人や大地主が市場や土地を独占していたら、経済はうまく回りません。 

ヨーロッパの王室は、婚姻関係が入り組んでおり、ほとんどの王室がなんらかの血縁でつながっています。そこで、どこかで嫡子が絶えたり、女性が後継者になったりするすると、自分にも権利があるとばかりに干渉してきます。

<そして、舞台は "いま" へ…>
どしゃ降りの大雨が続くと、ついつい悲観的になります。民主主義はもう終わりだとか、資本主義はもう限界だ、といった意見がその代表です。しかし、本当にそうでしょうか。(中略)

問題点を指摘することは比較的たやすいことです。どの世界にも、歪なかけらが山ほどあるからです。しかし、大事なことは、全体としてのシステムの安定性です。人間社会とはいつの世にあっても、歪なかけらが集まって一つの安定状態を形成するものなのです。(中略)

民主主義にせよ、資本主義・市場経済にせよ、戦後世界のシステムにせよ、それらの個々の歪なかけらを指摘するだけでなく、全体として丸く収まっているかかどうかを実証的に検証し、丸く収まっていないのであれば、それらに代わる整合的なシステムの骨格を示すことが重要ではないでしょうか。保守思想家のバークにならっていえば、代案がなければ現状を改善していくほかに方法はないのです。
歴史を学ぶ意味は、人間がこれまでやってきたことを後からケーススタディとして学べるところにあります。歴史には、5000年を生きてきた人間の豊饒なケース(事例)がつまっています。