Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

無意識の構造

著者:河合隼雄
評価:B+

【評】
ユングフロイトアドラー三羽烏紹介、隼雄お得意のコンプレックス入門からはじまる本書は、
意識と無意識の関わりを考える深層心理学の話に突入していく。

心の構造のさまざまな図式化、巨像、円相、曼荼羅などのさまざまなイマージュ、元型が登場し、読者の無意識野が活性化することうけあい。
本書刊行は77年なので、まだ井筒俊彦とは出会っていないみたい。

二十世紀後半に生きる現代人としての反省は、十九世紀の合理精神が息の根を止めたシンボルやイメージを、いかにして再生せしめ、われわれの心の均衡を回復するかという点にかかっている。(中略)
われわれは概念化の際に無視され、背後に押しのけられた存在にも目を向け、世界をもう一度、トータルな存在として見なおす努力を傾けねばならないのではなかろうか。

われわれはシンボルの宝庫としての無意識の世界に興味を持ち、そのことはわれわれ自身の全体性の回復へとつながってゆくのである

ユングは、人間の意識も無意識も含めた心の全体性に注目し、そのような心全体の統合の中心としての「自己」の存在を仮定するようになったのである。
ゆんぐ「意識と無意識は、どれか一方が他方に抑圧されたり破壊されたりしていては、ひとつの全体を形づくれない。両者を平等の権利をもって公平に戦わせるならば、双方ともに満足するに違いない。両者は生命の両輪である。意識をして、その合理性を守り自己防衛を行わしめ、無意識の生命をして、それ自身の道をゆかしめる公平な機会を受けしめよう。……それは、古くからあるハンマーと鉄床との間の技である。それらの間で鍛えられた鉄は、遂に壊れることのない全体、すなわち個人となるであろう」