Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

零式艦上戦闘機

著者:清水政彦
評価:B

【評】
零戦神話の解体・再構築を図る。
操縦時の視界、照準器に映る敵影、縦桿を握る感覚、Gの強さなどリアルな解説も〇。

零戦の成功は、海軍の発注方針と、三菱側の必死の努力と、中島の新型エンジンがばっちりと?み合った結果であり、ここまで上手くいくことはそう滅多にあるものではない。

航空戦は攻撃側が圧倒的に有利になる。緒戦で零戦が米軍機を圧倒できた最大の理由は、実はこの「攻勢の優位」にあったのである。

空中戦の勝敗を決める要素は、パイロットの飛行技術や機体の性能よりも、むしろ組織された集団の威力と、発射される銃弾の量になった。

空中戦で優位を得るためには、こうした損害の原因を執念深く探り、絶えず戦術を改善し続けることが重要なのだが、誇大な戦果認定で「今日も勝った」と錯覚すると、この努力が疎かになってしまう。

日本の航空戦力を立ち直れなくしたのはミッドウェイでもガダルカナルでもなく、昭和18年を通じて行われた中部ソロモン諸島及び東部ニューギニア争奪戦であり、そこで生じた10000機ともいわれる大消耗であった。そして、その失敗の元凶は、どうやら戦果確認の不徹底にあったようである。