Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

密教経典・他

著者:中村元
評価:A

【評】
『金光明経』『理趣経』『大日経』。

『金光明経』
東洋的君主論
是の故に応に 正法に随って世を治め
善を以て国を化き 非法に順ぜざるべし
寧ろ身命を捨つるも 眷属を愛せざれ
親しきもの親しきに非ざるものにも 心は常に平等なれ 

陀羅尼、放生会の部分も面白い。 


理趣経
ヒンドゥー教の神々の輸入や陀羅尼の導入など、大衆向けにカスタマイズされていく仏教
万物が大日如来毘盧遮那仏)に摂取されてゆく。
そして大転換。現世の愉悦を肯定。

何を以ての故に。一切の法は自性清浄なるが故に、般若波羅蜜多も清浄なり。

一切の平等性の故に、般若波羅蜜多は平等性。

「般若理趣」は真実の智慧によって知られる道理です。ここでは、その道理を知ると、一切のものは平等であるが、まさに平等であるがゆえに、現象界の種々の差別相を成立させうるのである、ということを説いているのです。

ともかく欲望をもち、煩悩に悩まされている凡夫の暮らしのなかに、真実に生きるその姿を認めようといって積極的に勧めるのがこの『理趣経』の立場です。

大日経
菩提心を因となし、〔大〕悲を根本と為し、方便を究竟と為す。

如何が菩提とならば、謂く、実の如く自心を知るなり。

真言密教はいろいろなものをすべて包容して、そしてそれをそれぞれの意義にしたがって生かしていくという、そういう面があります。

ついに「草木国土悉皆成仏」式の考え方が芽吹いた!

仏教の衰退期に生まれた密教は、印度における最後の光芒を放って消えて行った。
その合理主義的・哲学的な思想は、
「家庭生活の内部にまでも入って民衆を積極的・組織的に指導することをしなかった」。

仏教は本国では滅びた。しかし、仏教はアジアに広がりその命脈を保った。
そして、その哲学的な性格は、いろいろな東洋思想の母体となった。