評価:B+
【評】
必殺・御前会議×御聖断で、一気に戦争終結へ邁進した日本のいちばん長い日を一時間ごとに見ていく。
戦争を終わらせたキーパーソン、鈴木貫太郎、昭和天皇、そして阿南惟幾。
閣僚の早業、職員たちと不平分子の攻防。
帝国の葬式と真夏の夜の夢が交叉する、日本のいちばん長い日の記録がここにある。
阿南「聖断は下ったのである。いまはそれにしたがうばかりである。不服のものは自分の屍を越えてゆけ」
もう完全に阿南が主人公。
「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル
昭和二十年八月十四日夜
陸軍大臣 阿南惟幾」
米内「本当に惜しい人だった」
大日本帝国の最後は近づいていた。ほとんどすべての日本国民はラジオの前に集まり、その時のきたるのを待ちつづけた。真っ赤な太陽は真上にあった。人々は仕事をやめ、日本中のそこかしこで数人ずつがひとかたまりに、黙ってならんで立ち、そしてあたりが急に静かになった。そしてしみじみと静けさを味わっていた。すべての日本人にとってそれが生きぬいてきた戦争の最後の日であった。
鈴木「阿南陸相は忠実に政府の策に従われた。陸軍大臣が辞表を提出されたならば、わが内閣は即座に瓦解したであろう。阿南大将が辞職されなかったので、われわれはその主目標、つまり戦争終結の目的を達成することができた。わたしはそのことを陸相に深く感謝しなくてはならない」