Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

愛の贈りもの

著者:星野富弘
評価:A

【評】
「愛、深き淵より。」「新編 風の旅」の代表作二冊を収録。
命のきらめき、世界の美しさを宿した闘病記・詩画集。

母を道づれの闘病生活。
突然首から下の感覚を喪失し、生死の境を何度もさ迷い、気分は浮き沈みし、
信仰に目覚め、「口述」をはじめ、故郷に戻る。
味わいある真率なことばのかずかずに、いつしか前向きな気持ちになっているだろう。

周囲のひとが不幸になったとき自分が幸福だと思い、他人が幸福になれば自分が不幸になってしまう。

けがをした当時は、なんとしても助かりたいと思ったのに、人工呼吸器がとれ、助かるみこみがでてきたら、今度は死にたいと思うようになってしまった。

いつかはわからないが、神様が用意していてくれるほんとうの私の死の時まで、胸をはって一生懸命生きようと思った。

(中略)

今の人生を精一杯生きられない者が、二度目の人生など生きられるはずがあるだろうか。

病気やけがは、本来、幸、不幸の性格はもっていないのではないだろうか。

病気やけがに、不幸という性格をもたせてしまうのは、人の先入観や生きる姿勢のあり方ではないだろうか。

もし私がけがをしなければ、この愛に満ちた母に気づくことなく、私は母をうす汚れた一人の百姓としてしかみられないままに、一生を高慢な気持ちで過ごしてしまう、不幸な人間になってしまったかも知れなかった。


苦しみによって苦しみから救われ、かなしみの穴をほじくっていたら喜びが出てきた。

生きているっておもしろいと思う。いいなあ、と思う。

まだまだこれからだ。

両手を広げて待っているあの山のふところで、これから、私にしかできない文字をつづっていこう。


詩画集のなかでは、あえて選ぶなら、
「なのはな」「はなしょうぶ」「やぶかんぞう」が効いた。
おノロケも効いた。

私の「いつか…」は、少年の頃夢みたような出世や、地位との出会いではありませんでした。自分の力だけで生きていると錯覚していた、小さな私と、大きな愛の出会いだったのです。

「あいつは、ああいうやつなんだ」とほんのわずかしか知らないうちに決めつけてしまうことが、なんと多いのだろう。花の色が一日にして変化するのだから、まして心をもっている人を見るとき、自分のわずかな秤で決めつけてしまうのなんて全く間違っていると思う。


「幸」や「不幸」に出会わなければほんとうの幸せには気付けないのだろうか?
いや、そんなことはない。
幸不幸を安易に体の自由不自由と結びつけるのは早計だとTOMMYもいっていたしね。