Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

命のビザを繋いだ男―小辻節三とユダヤ難民

命のビザを繋いだ男―小辻節三とユダヤ難民
命のビザを繋いだ男―小辻節三とユダヤ難民 [単行本(ソフトカバー)]
著者:山田純大
評価:B

 誰もが知っている杉原千畝の立派な行い。ユダヤ難民を救って万々歳…めでたしめでたし…。
…ん?ちょっと待てよ…と著者は3つの疑問を持った。

①杉原が発給したビザを持ったユダヤ難民たちはどのようにしてリトアニアから日本までたどり着いたのだろうか。
②日本にたどり着いた六千人ものユダヤ人は日本のどこにいてどんな暮らしをしていたのか。
③たった十日しかない日本での滞在許可でどうやって目的地への入国を果たせたのだろうか。

本書にはそれらの答えがある。
杉原千畝の発給した命のビザを繋いだ男―小辻節三。長い間ほとんど語られてこなかった彼の偉業が今明かされる。
謀略渦巻く戦時中の混乱期、命の危険にさらされながらも務めを果たした小辻の生き様に読者は何を思う。

著者は俳優であるが、小辻の自伝(松岡洋右に対する見方が変わるかも)を翻訳したのみならず、小辻の娘やその友人を訪ね、さらには勇敢にもイスラエルの正統派教徒が住む町まで足を延ばして取材を行っている。その行動力、そして飾り気のない平易な文章にグッとくる。
なお、パレスチナ問題はスルーでお願いします。