【概要】
著者(監督):山崎貴
原作未読だが楽しめた。内容は地味だが技術者の人はグッと来るものがあるのでは。技術者倫理も学べるので映画館にGOだ!
【詳細】
<あらすじ>
<メモ>
- 大和建造見積りの不正を暴くという地味すぎる題材。帝大生を主計少佐にねじ込んで見積りを精査させる発想はやや無理があるか、演技や小道具で自然に見せている。
- 本編が映像的に地味な分、冒頭の大和沈没でその成分を補っている印象。VFX技術の向上を感じられる。
- なんでも巻尺で測るとか、図面や価格表などの情報を取りに行くとか。発表直前までゴリゴリ手計算をしたり、図面を書いたりとか。技術者の端くれなら好きであろうシーンがぐっとくる。これ見た後、技術計算したくならない?
- 投扇興での扇の軌道とか、鉄鋼量と価格の相関とか、トロコイド曲線とか波高さに対する剪断応力とか、そういった単語や概念にはぐっとくる人が多かったのでは?
- 大和の費用を他の巡洋艦費用に付け替えるという、費用の付け替えはけっこうありがちだよね。
- 柄本佑と菅田将暉の信頼関係構築がグッとくる。
- ジジイ連中の濃さがすごい。年輪の厚みを感じさせる。舘ひろし、国村隼、小林克也、橋爪功、田中泯など。「いやいや、ここの曲線が…いいねえ~」とか何とか言って模型をナデナデしていたシーンはさすが。
- 会議室での長台詞やジジイ連中の丁々発止の掛け合いが面白い。「セカンドがいると聞いたぞ!」「何という深謀遠慮だ!」など。
- 根回し済みだったゆえ見積り精査しても意味がなく、「国のため」と情で大和に決まるかと思っていたが…平山造船中将、技術者としての矜持を見せる。
- 見積りでは不正をしても、技術面では嘘をつけない平山さんの姿には技術者倫理が読み取れる。技術者と自然科学者の奇妙な友情。二人とも美しいものには目がないのだね。その美しさが悲劇を招くとしても。風立ちぬ的。
- 日本というかお嬢様を守るために身を投じたプロジェクトだったが、結局大和作るんかい! 櫂君、造船士官にでもなったかな。
- やっぱりお嬢様、美人(浜辺美波)。そしてお嬢様、便利。鶴瓶は神。
この記事は面白かったです。
この映画の作り込みの厚みを感じさせてくれました。
<おまけ>
鋼材料とトンあたりの費用の相関を関数で表す、というのはエンジ系ではよくある手法ですな。
ちなみに化学プラントの0.6乗則はあまりにも有名。ただ今回は外挿になるのでかなり危険な気はする。2〜3万トン以上だとグラフが寝てくると考えれば妥当だが。
以下ネットで拾った例。
『大型化に伴う機器の製作コストについて』
狩野三郎1,化学工学,Vol.31,No.10(1967)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakoronbunshu1953/31/10/31_10_940/_pdf
https://www.city.mitoyo.lg.jp/div/kankyo/pdf/kentou/10-2.pdf