女子高生4人が南極に行く。ここではないどこかへ、何かをさがして。誰かと。
一見、ありがちな女子高生×〇〇のパターンだが、意外とまじめ。「旅」と「友」の素晴らしさに重点を置いている印象。仲間探し、渡航権獲得、修行、船旅とテンポよく進む。旅立ちの高揚感や海外旅行あるある、南極観測隊のお仕事の一端紹介、SNS世代の「友達」定義など、なかなか興味深い内容だったりする。
冒頭のよどみが決壊するイメージがのちのち効いてくるのがいいね!(マリの旅立ち、報瀬のメール、日向・結月、めぐっちゃんの心のしこり)。4人じゃなきゃ行けなかった!
【詳細】
<雑な人物紹介>
キマリ:元気天然デコ子。
報瀬:どう見ても元ネタは白瀬矗。100万の女。人見知りで思い込みが強く不器用で変態だが、言うときは言う変態。
日向:ダサTシャツと胸と井口ボイスが印象的な名言メイカー。OPの温泉回ないの!?
結月:一人だけ年下。軽く死ねますね。友達誓約書を作成しちゃうくらい友達に飢えている。
<印象>
- 「うちゅう」でも「テラ」でもなく、「そら」。iPod→AmazonPrimeで観た。
- 青春の「何かしたい感」「どこかに行きたい感」「何かが変わる感」が表現されている。
- 最初の3話くらいは、どうやって行くの? ほんとに行けるの? といったところでやきもきさせるが、基本的にはテンポよく進む。船室や談話室的なスペースでだらだら話すあたりに修学旅行感がある。やっぱり観測隊の中ではお客さんポジションか。
- 海外旅行あるある(パスポ紛失、コンソール操作、カタコト英語で交渉、船酔い)、氷雪の世界を彩る食事とイベント(トランプ、麻雀、流しそうめん、野球)が妙にリアルだったりする。民間事業ゆえの苦労(スポンサー・人集め、物資の手配)とか、旗を立てる訓練や「ご安全に!」 もなかなかリアル。砕氷方法が意外と泥臭いのが意外だった。砕氷機的なサムシングが船首に付いていのかと思っていた。
- パスポ紛失や誕生日ケーキ、テレビ電話などのイベントが契機となってメンバーの内面を知る。昔にいろいろあっても今が楽しければそれに縛られる必要がないのかも。
- 報瀬が初上陸を果たすかと思いきや4人でジャンプ着氷するところは良かった。ざまあみろ! 4人じゃないと行けなかった場所が今ここにある。それぞれ心にしこりを抱えていても、旅の途上で困難が待ち受けていても、彼女たちは仲間と一緒に乗り越えていく時間を愛した。
- 登場人物がよく涙をぽろぽろ流す。めぐちゃんがネガキャンしていたのをカミングアウトするところ、友達の気軽さを信じきれない結月に不格好なケーキをあげるところ、日向の過去友に肘鉄をくらわすところ、報瀬のメールを一斉受信するところ、なんかも良かったかな。不器用でも一歩踏み出して感情をやり取りするのが大切なのかも。
- 報瀬がPCを点けたときのメールラッシュには、これまでの伏線が回収されていくのを感じた。未読メールの数が南極を想った数なのだ。報瀬のPC置いていく、髪切る、100万放置、などの行為には区切りをつけた感じが出ていてよし。
- テキストコミュニケーション世代の受難、SNS世代の「友達」定義などには若人は共感を覚えるところもあるのでは。