Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

与謝野晶子の源氏物語

与謝野晶子の源氏物語〈上〉光源氏の栄華 (角川ソフィア文庫)

【概要】
著者(監督):紫式部 訳:与謝野晶子

(上)谷崎源氏の前の肩慣らしに。以前はいくつかの章段をつまみ食いしただけだったので再読すると新鮮。人物関係図片手に読んでいくと、放縦というか正直というか、愛すべき光源氏と女たちの関係の綾に目が眩むようだ。千年経っても変わらぬ人間の愛憎劇が面白い。

(中)副読本の『あさきゆめみし』に耽溺していたため遅れた。位人身を極めた光源氏は六条院というハーレム宮に女たちを住まわせるが、そんなに簡単にめでたしめでたしとはいかず…。戦前の訳にしては結構読みやすい部類か。ただ、登場人物の名前の呼び分けが不徹底で苦労させられる(「宮」など)。

(下)やっと終わった。後半になるほど文量が増して読みづらくなる。


【詳細】

森鴎外の「わたくしは躊躇せずに、ほしいと申します。わたくしはこの物語の訳本を切に要求いたしております」

の言葉にもあるように、本作は

 

主として直ちに原著の精神を現代語の楽器に浮きだ出させようと努めた。細心に、また大胆に努めた。必ずしも原著者の表現法を襲わず、必ずしも逐語訳の法に由らず、原著の精神を我が物として訳者の自由訳を敢えてしたのである。

  • 口語でやや多弁に『源氏』を再構成した。明治から大正に時代が移る中、当時の人々には『源氏』が身近になり、登場人物の人間味が増して感じられただろう。桐壺の更衣「私は生きたい、生きていたい」や、薫「私の生命なのです」などの言葉に与謝野節を感じた。
  • 多種多様な男女の関係、運命の皮肉に涙。藤壺の、いや桐壺の面影を求めて遍歴を重ねる源氏の姿に自分を重ねる人もいるのでは? ①紫の上には子供ができないが、葵の上や藤壺の間にはできたり②源氏には子が多くないが、子供(夕霧)には子供が多かったり③名うてのプレイボーイである源氏に比べ、息子の夕霧は恋愛ベタだったり④自分の犯した不義の罪を息子世代(柏木)に意趣返しされたり。
  • いくらすばらしい女人でも相性というものがある。それでも一度契った相手には情けをかける光源氏の甲斐性には愛すべきものがある。
  • 栄華を極めるばかりでなく、源氏を須磨に謹慎させたり紫の上に先立たせたりと、主人公をいじめる手腕に原作者の脚本構成能力を見た。また若紫の恥じらい、須磨落ちする源氏に別れのメール、泣き笑いする夕霧と雲居の雁、子猫を撫でる柏木など、千年経っても変わらない人間の情愛を感じた。

 

 

<晶子への要望>

  • 人物の名称統一を望む(ランクが変わっても)。
  • パラグラフを分けて休憩しやすい構成としてほしい。

 

<参考資料>

www.google.co.jp

 

皇后・中宮・女御・御息所・更衣・女院をスッキリ整理!天皇の后妃の法則 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

 

第6回日本史講座のまとめ③(官僚制度のしくみ) : 山武の世界史

 

<副読本、というか正読本>

あさきゆめみし』もよろしくね!

javalousty.hatenablog.com