【概要】
著者(監督):芝崎みゆき
メソアメリカの絵入りの手書き紹介本。遊び心と偏愛を感じる。
ほどよく気の抜けた絵、時折挿入される的確かつ率直なコメント、入念な調査に基づく情報量(膨大な参考文献リストを見よ)の三者がうまく嚙み合っている。得体の知れない人々にも彼らなりの世界観や価値観があり、人生があったのだなあ。不可思議な神話や現地人の奇妙な習慣にクスリとさせられる。
姉妹編の『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅』も読んでみたいところ。
【詳細】
- 地理的条件で南北移動が制約されたことから文明が冷凍保存され、似た文化がメソアメリカ地方に残っていたんだなあ。
- 図案や構築物、習慣に対する学者たちの好き勝手な解釈に人文学の恣意性を見た。
- 皮剥ぎや局部切り取り、心臓奉呈はNG。
- 時折入るつっこみが辛辣かつ的確で笑う。
ex)「読者置いてけぼりで突っ走る、プリミティブな神話」
「絶賛売り出し中のケツァルコアトル」