【概要】
著者(監督):高坂希太郎
茄子もとい自転車レースを主題に、はちきれんばかりの情熱が詰め込まれている。熱風吹きすさぶ荒野、アスファルトを流れていく銀輪の列、市街での壮絶な先頭争い、喘ぎながら必死の形相でゴールラインを切る男たち、さまざまな感情が交錯する中ゴールを目指す主人公ペペ。
茄子漬からしたたるアサディジョ、投げ捨てられるボトル、ギアチェンジ、左右に揺れながら加速する自転車…アニメーションへの追求はとどまるところを知らない。
【詳細】
<印象>
- 冒頭の黒猫の動きからしてすでにアニメへの情熱を感じる。
- 茄子漬けから広がる汁、レーサーの一人称視界、レーサー集団のもぞもぞした動き、スムーズな先頭交代、ギアチェンジ、ペダルを漕ぐ動き、アスファルトを流れていく銀輪の列、地面を転がるボトル、光る汗、ボトルを絞れど出ぬ水、カピカピの唇、人垣が流れていく市街地、そして検尿。本物より本物らしい、アニメーションの神髄を見た。濃密な47分。
- 結婚式が済んだあと式場の前を自転車が行く。そのシチュエーション。PePeの文字。軍服のぺぺと兄と彼女が一堂に会するシーンも印象的だった。
- 南欧スペインの熱くて乾燥した風を確かに感じた。開始早々その雰囲気に呑まれる。引き込まれる。
- ゴール前の必死の形相、アツい。いろんな思いが去来する中「ハァッ…!ハァッ…!」いろんなものをたらしながらゴールへ。
- 地元から離れるにはプロとして強くなることが必要だったぺぺ・べネンヘリ。茄子とワインが地元の象徴。スポンサーとの不安定な関係。画面に映ること試合に勝つこと。自転車での活躍と対照的に兄にカノジョをとられてしまう。
- 実況、リアリティ醸成だけでなくレース初心者への解説にもなっている。
- 「Rがきつい」「アタック」「足を残す」などのチャリ用語が自然と出てくるあたりが巧まずしていい感じ。背中のポケットに入れられるボトル、投げ棄てられるボトル、ホルダに入れられるボトル、チャリ乗りの端くれとして少しわかりみがあり親近感。
- レースは集団戦でもあるんだな。個人での独走はツラかろう。視界の中に相手がいないと疲れてしまうし、風よけもいないし。
- 絵がジブリっぽい。監督の来歴的には当然か。
- 「茄子」原作も読み直したいところ。
- 大泉洋、このころから声優やってたんだね。