【概要】
著者(監督):パク・チャヌク
深層の令嬢と掏摸の下女の耽美的百合ミステリー。第二部まで見ると二人の感情の到達点に気づき、誰が真に騙されていたのか分る筈。
ストーリーの面白さはもちろんのこと、東アジア女性の細身の肉体、彼女らが織りなす口内玩弄や寝台での睦み合い、そしてそれを映す偏執的なカメラワークとカット…谷崎的悪魔主義を存分に感じられる。
日本語が淫語媒体としての役割を担っているのが興味深い。と同時に、朝鮮半島の近代に日本の植民地支配は抜きにはできない要素なのだとしみじみ感じる。
【詳細】
<あらすぎるあらすじ>
・第一部:下女視点
日本統治下の朝鮮。窃盗団の一員として、或る和洋館でお嬢さんの下女として潜入した主人公。ドラえもんよろしく押入れで生活。
邪な欲望を抱いて潜入したつもりがいつしかお嬢さんに同情していく。
おふろに入れたり、口の中に指を入れたり、脱がし合ったり、お嬢さんが伯爵に求婚された夜にキッスしたり、そして…。
お嬢さんへの想いは尊崇へと変わっていくが伯爵の陰謀には抗えず、同情しつつも日本へ。お嬢さんを陥れるつもりがまさかの自分が病棟に。騙された。
・第二部:お嬢さん視点
変態紳士たちの朗読会。お嬢さんが日本語で淫語を読み上げる。
「秀でた美しさでございます」「天性ですねッ!」とお嬢さんを称えながら、「鋏のように」体を擦り合わせる二人の女。
第一部と違うのは、ここから。伯爵の陰謀に加担することに申し訳なくなって首吊りしようとする下女はお嬢さんに引き止められ、お互い思惑をカミングアウトする。旦那のいないうちに変態グッズを捨て、日本へ逃避行。どんでん返しの匂いが。
・第三部:下女・お嬢さん連合
口移し作戦で 精神病棟から下女を救い出すお嬢さん。
やらかした伯爵はおしおき指カットの放課後拷問タイム。水銀を武器に旦那もろともに伯爵は死す。
一方女性二人は月下夜船に揺られ、船室で心ゆくまでタマタマ遊びに興じるのであった…。
<印象>
- 朝鮮半島の近代浪漫には日本が抜きがたく居座っている。
- 日本語が隠語アイテムとして活用されている。
- 控えめなおっぱいと絡み合う肉体。それらを舐るように映すカメラ。
- レトロな仕掛け(ベル、ランプ、車、館、館の謎ギミック)がリアル。さすが東アジア。