著者(監督):赤松啓介
【概要】
卑俗な視点から近代日本のムッツリな虚構を暴く。常識はアップデートされていくものだ。近世日本の残滓が大正まで命脈を保っていた点や、性教育がムラのシステムに組み込まれている点は面白い。柳田民俗学や公権力への反骨心がもはや微笑ましい。
【詳細】
「夜這い」や「筆下ろし」「水揚げ」は、ムラの自衛や働き手確保、構成員の均質化・緊密化につながる合理的なシステムだった。
昔は殆どのムラで初(若衆)入りの日か、その夜に一人前になる性教育というより、性交の技能を教えた。(中略)教育してくれるのも後家、嬶、尼僧、酌婦などいろいろと広い。最も典型的なのは後家による雑魚寝の形式だろう。
うらやましい。
しかし、その風習も産業構造や教育の変化による解体からは逃れられないのであった。
私が田舎の百姓、小作どもの実生活、都市の商人、貧民たちの生活をありのままに書き残しておきたいと努力しているのは、その中に人間の本来の姿が残されていると思うからだ。
「柿の木問答」や、手の柔らかさや椿油の匂いなどエッチで五感的な描写は、著者の豊富な経験値に裏打ちされている。