Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

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千の顔を持つ英雄

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

著者(監督):ジョーゼフ・キャンベル 訳:倉田真木ら

 

【概要】

出立、イニシエーション、帰還。「行きて帰りし物語」のさまざまなパターンを収集・分類した。古今東西創世神話・英雄伝が入り乱れ、脳内で英雄たちが好き放題に暴れ回る。物語を書きたい人は下敷きにするといいかもしれない。

 

【詳細】

「夢は個人に属する神話で、神話は個人を排した夢である」。

の言葉にもある通り、ユングフロイト的に神話的モチーフから意味を読みとろうとしている。 

本書で引用される物語であるが、ギルガメシュ叙事詩、エジプト神話、ギリシャ神話、仏教、ヒンドゥー教、日本神話、ケルト神話アーサー王物語、その他枚挙にいとまがない。

それらから抽出した基本構造は「英雄の旅」を図解した頁(下巻p.88)に詳しい。

神話の英雄は、日常生活を送る小屋や城から旅立ち、誘惑されたり、さらわれたり、あるいは自発的に進んだりして、冒険の境界へと向かう。そしてそこで、境界を守っている影の存在と出会う。英雄はその力を打ち負かすかなだめるかし、それから生きたまま闇の王国に入るか(兄弟の戦い、龍との戦い、供物、呪文)、敵に殺され死の世界へと降りていくか(四肢解剖や磔刑)する。

境界を越えると、英雄はなじみがないのに不思議と親しみを覚える力の支配する世界を旅することになる。力の中には、厳しく彼を脅かす力もあれば(試練)、魔力で助けてくれる力もある(助力者)。神話的な円環の底にたどり着いた英雄は、究極の試練を経験し、見返りを手に入れる。その勝利は、英雄と世界の母なる女神との性的結合(聖婚)や、父なる創造主からの承認(父との和解)、あるいは英雄自身が聖なる存在になる(神格化)という形で描かれる。その力が依然として英雄に好意的でない場合、褒美を盗み出すことによって手に入れる(花嫁の略奪、火の盗取)こともある。本質的に、それは意識の、と同時に、存在の拡張である(啓示、変容、自由)。

最後は帰還に取り組むことになる。力に祝福されているなら、英雄はそれに守られて帰途につく(使者)。そうでない場合、英雄は逃げ、追跡を受ける(変身による逃走、障害物による逃走)。帰還途上の境界で、超自然的な力は英雄の背後にとどまるしかない。英雄は、恐怖の王国から再び姿を現す(帰還、復活)。英雄が持ち帰る恩恵は世界を復活させる(霊薬)。

 

他には、ヴィラコチャ、タンガロア君の造形、「火を飛び越える」といったどこかで見たようなシーンが面白い。

 

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