著者:久慈光久
【評】
どんな陰謀も見逃さない悪代官ヴォルフラムが守る「狼の口」を、鎧と槍と馬蹄に蹂躙されていた山の民たちの血と涙が破砕する。その闘いの記憶は今のスイス連邦に繋がっている。
全ての屈辱も犠牲も、耐え抜く。
同朋たちの血と涙が育てた叛乱の芽が、
薄ら笑いに杭を打ち込むその日まで―――。
独特の描線が魅力。液体の描写は玉のよう。
屈辱と絶望と憤怒の顔も〇。エッチなシーンも見逃せない。
何より残忍・凄惨な拷問シーンが特徴的。
鞭打ちや水責めはもちろん、車裂き、爪剥ぎ、圧殺、獣刑、絞首刑、串刺し、木靴、火炙りと西洋的バラエティに富んでいる。
男はもちろん女の子が容赦なくボコボコにされるのは見ていて忍びない。が、どこか己の内に潜む嗜虐性を喚起される。
やがて勃発する農民戦争。
戦闘で次々に戦士たちが物体に変わっていくさまには「ぶっ殺す」という言葉がとてもよく似合う。
そう、この物語は盟友たちの群像劇なのだ。
瞬撃の魔女ヨハンナ、女将、バルバラ、切り裂きヒルデ<br />そしてヴァルター。<br />歴戦の闘士たちが斃れていく。
それでも進まなければならない。幾多の同朋の屍を越えて。
―――そんな忍耐と闘志を学ばせてもらったね。
物語の構成は大体こんな感じだが↓
[準備編]01-10話
[攻城編]11-21話
[独立編]22-36話
やっぱり悪代官をさがせ!の[攻城編]がベストだろうか。
弩弓の嵐に加え殺人ギミック満載の風雲カラクリ城には幾度も折れそうになったね。