Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

随筆・日記・書簡・金言集

中谷宇吉郎随筆集

【概要】著者(監督):中谷宇吉郎 樋口敬二編 人工雪の研究でおなじみ中谷宇吉郎の随筆集。寺田寅彦の薫陶のためか守備範囲は雪や気象学のみならず物理や化学、地学全般にわたる。科学研究においては「無邪気なそして純粋な興味が尊い」とのこと。ちゃんと…

ローマ字日記

【概要】著者(監督):石川啄木 編訳:桑原武夫 わざわざローマ字で書かれた怪しい日記。所帯持ちとは思えないほど金と下半身がゆるいような。孤独と自信、漂泊の思い、何者かへの憧憬など、いろいろな思いがアルファベットで言語化される。 桑原が普通の日…

Lily―日々のカケラ―

【概要】著者(監督):石田ゆり子サブタイトルの通り日々のちょっときらめいてるカケラを拾っていく。小物類がオシャレ。キャピキャピしすぎずオバさんすぎずで均衡が保たれていて良い。こういう齢の重ね方もいいかも知れない。 【詳細】『Mのけ姫』のサン…

アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡

訳:沓掛良彦 横山安由美 【概要】 書簡体に託した愛と信仰の告白。まさに事実は小説よりも奇なりで、運命は彼らに肉薄していた。900年前の人間のあつき血汐、いまと何ら変わることのない人間の愛欲と悲哀を感じる。行間からエロイーズの「そんな言葉を聞き…

置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい [単行本(ソフトカバー)]著者:渡辺和子【概要】シ〇タクさんご推薦。「~すれば~される」という双方向的な関係構築マインド、内面に目を向ける大切さなど、「キレそうになる日もあ」るという人間臭いシスターのお話。やっぱり二…

第二集 きけ わだつみのこえ

第二集 きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫) [文庫] 【概要】 編:日本戦没学生記念会当時のエリートたちが理不尽で醜悪な現実に対し、いかに自己と向き合い、いかに自己を位置づけようとしたかの精神的苦闘の記憶。明朗と悲壮、韜晦と諦観が…

チベット旅行記

チベット旅行記(上) (講談社学術文庫) [文庫]著者:河口慧海【概要】明治時代に真の仏典を求め、鎖国中のチベットに乗り込んだ変な僧の冒険活劇。寒さや高山病や熱病で何回も死にかけたり、ヒマラヤ山脈近傍国のVIPと友達になったり、原始仏教の斎戒を保った…

獄中からの手紙

ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫) [文庫]著者:M.K.ガンディー 訳:森川達雄評価:B+【概要】サッティーヤ道場の門人に宛てたストイックな戒律集。大いなるものへの献身と融和、不撓の決意など、汎宗教的な人間の本質をひたむきに追い求めている。解説…

土左日記

土左日記 (岩波文庫) [文庫]著者:紀貫之 校注:鈴木知太郎評価:A【概要】人事異動に伴い土佐から京に帰るときの、六十首余りを収めた旅日記もといダジャレ帳。古いがかなり読みやすい。妻や童、媼、船頭などに仮託して群像劇チックに表出させた亡児への追…

文語訳 新約聖書 詩篇付

文語訳 新約聖書 詩篇付 (岩波文庫) [文庫]著者:評価:A【概要】4福音書のみ読了。内容はおなじみ神の子の言行録。福音書ごとに内容の取捨選択や認識の差異はあれど、四回も同様の物語を読まされるので世界宗教の大まかな脳内回路形成には十分。古今東西変…

更級日記

更級日記 (岩波文庫) [文庫]著者:菅原孝標女 校注:西下経一評価:B+【概要】平安後期の地方官の娘の旅日記、歌日記、一代記。少女時代、源氏物語濫読や猫出現のあたりはまだ明るいが、上京以降は哀愁と幻滅と孤独が敷き詰められており鬱々としている。現実…

武家の女性

武家の女性 (岩波文庫 青 162-1) [文庫]著者:山川菊栄評価:B+【概要】水戸藩下級藩士の一家の日常を女性目線で活写する。幕末の動乱期ゆえ、習い事、家事、台所事情などに関するほっこりイベントと、血で血を洗う内訌の残虐さが同居している。菊栄のストー…

わが父西田幾多郎

わが父西田幾多郎 (1948年) (アテネ文庫〈第4〉) [文庫] 著者:西田静子 上田彌生【概要】幾多郎の二人の娘が父や家、暮らしの思ひ出を回顧する。徒然なるままに語られる記憶は、素朴ながらも温かみに溢れていてジ~ンとくる。『善の研究』『西田幾多郎随筆…

ブッダ最後の旅

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫) [文庫]訳:中村元評価:B+【概要】繰り返しが多すぎるので差分だけにして。歴史的人物としての釈尊と超越者としての彼が混淆している。その臨終でアーナンダやチュンダに見せたやさしさは真実だったと信じたい…

自閉症の僕が跳びはねる理由

自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心 [ペーパーバック]著者:東田直樹評価:B+【評】僕は跳びはねているとき、気持ちは空に向かっています。空に吸いこまれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです。みんなが僕たちを誤解…

ブッダの真理のことば・感興のことば

ブッダの真理のことば・感興のことば (岩波文庫) [文庫] 訳者:中村元【評】「仏教の実践を教えた、恐らく最も著名でまた影響力ある詩集である」とのこと。漢訳版では『法句経』ともいう。釈尊のストイックかつ比喩を駆使した寸言が魂に触れる。 たとえため…

悲しみの秘義

若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義 [単行本]著者:若松英輔評価:B+【評】2010年に妻を喪い、悲しみに押しつぶされそうになりながらもすでに涙は出なくなっていた。この言葉に出会う前と後では世界が違って見える。今では、悲しみとは絶望に同伴するものでは…

和辻哲郎随筆集

和辻哲郎随筆集 (岩波文庫) [文庫]著者:和辻哲郎 編:坂部恵評価:B【評】人形浄瑠璃、能面、埴輪から感じ取った日本の風土。不完全や不足が、却って完全や理想への想像力の階梯を準備する。てっちゃん、日常のなにげない思いを論考めいた文章にするのが好…

読むと書く

読むと書く―井筒俊彦エッセイ集 [単行本]著者:井筒俊彦評価:B+【評】著作集未収録エッセイ70篇を収録。井筒俊彦入門に最適の一冊。…とオビに書いてあるが、『イスラーム文化』や『<コーラン>を読む』あたりから入ったほうがいいだろう。いわく言いがたい混…

ギリシア・ローマ名言集

ギリシア・ローマ名言集 (岩波文庫) [文庫]編:柳沼重剛評価:A【評】説明不要。古今東西かわらない、旧くて新しい人間のいとなみが、ありありと蘇ってきますね。<希臘篇>21.蟹をまっすぐ歩かせるなどできぬこと。25.すぐに古びてしまうものは何かと問われ…

太陽と鉄

太陽と鉄 (中公文庫) [文庫]著者:三島由紀夫評価:B+【評】ユキオが自己形成の歴史を特異な表現形式にて語る『太陽と鉄』、および『私の遍歴時代』を収める。前者は難解だが面白い。後者は青年のナルシシズムや太宰との邂逅が見所。私の自我を家屋とすると…

ある明治人の記録

ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 (中公新書 (252)) [新書] 編著:石光真人【評】 いくたびか筆とれども、胸塞がり涙さきだちて綴るにたえず、むなしく年を過して齢すでに八十路を越えたり。 父母兄弟姉妹ことごとく地下にありて、余ひとりこの世に残さ…

正法眼蔵随聞記

正法眼蔵随聞記 (岩波文庫) [文庫]編:懐奘 校訂:和辻哲郎評価:A【評】主君父母も我に悟りを与ふべからず。妻子眷属も我が苦みを救ふべからず。財宝も我が生死輪廻を截断すべからず。世人も我をたすくべきにあらず。非器なりと云ひて修せずんば何の劫にか…

ブッダのことば

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫) [文庫] 訳:中村元【評】ハジメが梵語から訳出した、仏教最古の聖典。ゴータマさん、道場破りないし悩み相談に来た訪問者をあざやかに対処していく。生きとし生けるものへの愛、因果、輪廻、無常、分別・五根・執…

やりたいことをやれ

やりたいことをやれ [単行本]著者:本田宗一郎 評価:B+【評】若者への暖かなまなざし、スピードへの憧憬、藤沢への信頼、従業員への感謝、「通知表のハンコ」「勉強になる場所」などの小噺。その豪快な人生は、まさに昭和ドリームの体現者と呼ぶにふさわし…

歎異抄

歎異抄 (岩波文庫 青318-2) [文庫]著者:唯円 校注:金子大栄評価:A【評】親鸞聖人のお言葉集。そして異を歎く抄。如来の阿弥陀に、他力の本願に、身も心も委ねてしまおう。善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。自力のこころをひるがへして、他力を…

柿の種

柿の種 (岩波文庫) [文庫]著者:寺田寅彦評価:B【評】一ページ乃至二ページのつぶやき集。トイレのお供にどうぞ。 やっぱり随筆はある程度の分量があったほうが面白い。

西田幾多郎随筆集

西田幾多郎随筆集 (岩波文庫) [文庫]著者:西田幾多郎 編:上田閑照評価:B+【評】哲学者・西田幾多郎ではなく人間・西田幾多郎の姿を知りたいキミに。意外とするする読める。家族との死別、教師・友人との死別。西洋哲学と東洋思想、そして人生の悲哀が結び…

鏡の中の物理学

鏡の中の物理学 (講談社学術文庫) [文庫]著者:朝永振一郎評価:B+【評】『鏡のなかの物理学』では物理法則の対称性を三種の鏡にたとえて。『光子の裁判』では、光の二重性の検証を探偵小説風に。講演・随筆の名手ですわ、振一郎。「なか」と「中」の使い分…

寺田寅彦随筆集

寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫) [文庫] 著者:寺田寅彦【粗評】名文で綴られるテラトラの随筆。少ししっとりしていて決して読みやすくはないが、高雅な感じがある。そして各随筆の最終段落が効く。さあ頁を繰ると『どんぐり』。いきなりの名随筆出現。一…